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2008年6月 3日 (火)

「六月の雨」

 (3:54)

中原中也

詩集・在りし日の歌

亡き児文也の霊に捧ぐ より


六月の雨



またひとしきり 午前の雨が
菖蒲(しやうぶ)のいろの みどりいろ
眼(まなこ)うるめる 面長き女(ひと)
たちあらはれて 消えてゆく

たちあらはれて 消えゆけば
うれひに沈み しとしとと
畠(はたけ)の上に 落ちてゐる
はてしもしれず 落ちてゐる

       お太鼓(たいこ)叩いて 笛吹いて
       あどけない子が 日曜日
       畳の上で 遊びます

       お太鼓叩いて 笛吹いて
       遊んでゐれば 雨が降る
       櫺子(れんじ)の外に 雨が降る




底本: 中原中也詩集
出版社: 岩波文庫、岩波書店
初版発行日: 1981(昭和56)年6月16日
入力に使用: 1997(平成9)年12月5日第37刷
底本の親本: 中原中也全集 第六巻
出版社: 角川書店
入力: 浜野安紀子
校正: 浜野智


※テキストはインターネットの図書館、「青空文庫」のボランティアの皆様のお力によるものです。

青空文庫 http://www.aozora.gr.jp/



BGM:Remair ~記憶の星~

http://remair.net/

SAM Free Music

http://sam-free.com/

TAM Music Factory

http://www.tam-music.com/index.html


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■ 孝輔のひとこと

このところ、仕事が忙しく、更新も、ご無沙汰しています。関東も入梅いりでしょうか?
さて、今回は、久々に中原中也を。
作品は「六月の雨」です。
この作品は意識しないで読むと、とある、雨の日の一日を捉えた作品で、外に遊べない子供が部屋で太鼓や笛を吹き、遊んでいる情景を雨の音と太鼓の音を対比して作品に仕上げている様に思えます。しかし、私は、ちょっと違う場面を想像しました。この作品は、原題からして、幼くして亡くなった我が子、「亡き文也の霊に捧ぐ」とあります。当時の住居環境から、トタン屋根にパラパラ降る雨の音と、今では考えられないと思いますが、多分、屋根からの雨漏りがあって、その雨漏りを防ぐ為に、バケツや茶碗などを雨漏りのするところ置いて雨漏りを防いでいました。古き昭和の初期頃はよく見かける光景でした。中也は多分、そんな雨漏りがポツポツと畳の上に置いたバケツや空き缶に落ちる音に、亡くなった自分の子供、文也が、そこで太鼓や笛を吹いている姿を見たのです。そして、子供の為に買ってあった太鼓と笛を雨の音に合わせて中也は、遊ぶのです。季節は菖蒲の頃(男の子の節句や元服には縁起のいい菖蒲(勝負)の季節)しかし、そこには我が愛する息子はいないのです・・・・。親として、なんと、切ない、やるせない作品ではないでしょうか。

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コメント

なんども なんども聴いてしまいました。

そうでした。
わすれてしまった雨の音。
トタンや、それから瓦に落ちる滴の音。

ぽつん ぽつんという音にかさなるように
いなくなったこどものかげが
視えたのかもしれませんね。

きっと
そこには きていたのでしょうね。

投稿: Suzuka | 2008年6月 5日 (木) 12時54分

どうも、ご無沙汰しています。
ちょっと仕事が忙しいのと、このところの、天候不順で、風邪気味です。更新も、ちょっとおざなりになってしまって、すみません。
いつも、コメントありがとうございます。
今回の、中也の作品は、もっと前に、公開するはずでしたが、なかなか、その雰囲気と場面が出てこなくて、やめていました。このところの雨で、雰囲気もちょうど今頃、頭の片隅にちょっと映像が出てきたので、朗読してみました。
しかし、風邪気味で、ちょっとだみ声でしたね・・・(;^_^A アセアセ・・・

投稿: 孝輔 | 2008年6月 5日 (木) 18時22分

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